岡山県倉敷市の水島臨海鉄道が、旧国鉄時代に製造され、4年前に引退した車両を再び走らせようと、修理費などを募って「国鉄水島計画」と題したクラウドファンディング(CF)を開始した。目標額の1300万円に対し、初日だけで400万円を超える支援が寄せられるなど、順調な滑り出しを見せている。

修理費用を募っているのは、1960年に製造された「キハ205」。ディーゼルエンジンで動く気動車で、JR四国の予讃線などで活躍し、88年に同社が購入した。約30年にわたって地域住民の足となり続けたが、老朽化で2017年に惜しまれつつも引退。今回のCFを企画した同社運輸部の大森史絵さん(41)よると、同じ形式の車両は全国に1000両以上あったが、いずれも廃車が進み、現在も動かすことができるのは同社と茨城県のひたちなか海浜鉄道に各1両を残すのみという。水島臨海鉄道では引退後、年に一度、イベントで公開するのみとなっていたが、鉄道ファンから復活を望む声が多く寄せられていた。

車両基地が海に近いこともあり、引退後はさびが目立ち、朽ちかけていた車両。復活のきっかけは新型コロナウイルスの流行だった。生活様式の変化から鉄道利用客が減少し、運輸収入はコロナ前の19年と比べて6割ほどに落ち込んだ。そんな中、社員の雑談で「キハ205をCFで復活させられたらいいのに」との意見が上がり、上層部に提案。地域活性化や鉄道収入減少の打開策という願いも込めて挑戦が決まった。

さびによる腐食で老朽化が一層進んだうえ、車内に修理技術を持つ人が少なくなっていることから、今回が「最後のチャンス」と大森さんは言う。CFが目標額を達成し、修理できれば、車両基地内での体験運転で使用することを検討している。

キハ205には同社内にも思い入れのある社員が多い。運転区長を務める運転士の古谷裕城さん(56)は約30年前、この車両で運転士免許を取得した。「キハ205は運転が難しく、経験と腕がいる。でもイベントで動いている姿を見て、たくさんのお客さんが喜んでいるのを見ると愛着がわく」と語る。大森さんは「キハ205はこれまでも廃車の危機を乗り越えてきた幸運な車両。この車両をどうするのか、ファンのみなさんに託したい」と話していた。

CFは16日に始まり、23日現在で1160万円を突破した。3000円から支援が可能。専用サイト(https://readyfor.jp/projects/mizurin1970)で、10月14日の「鉄道の日」まで募集している。寄せられた支援は、所有する他の旧国鉄車両の塗り替えにも使われる予定。【岩本一希】

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「キハ205」をもう一度 水島臨海鉄道 募金目標まであと少し

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