開業が1年延期された北陸新幹線の延伸工事などを加速させようと、大手私鉄7社が、新幹線の線路や施設の建設を担う独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)に技術者を出向させる。技術者不足の機構の支援が目的だが、自社の技術力向上を図る狙いもある。私鉄からの大規模出向は初めてで、組織の垣根を越えて大型プロジェクトにあたる。

7社は、関西圏の近畿日本鉄道(12人)や、東京メトロ(9人)、京王電鉄(2人)など。10月までに計28人が順次、出向する。機構と7社以外の私鉄が調整を続けており、規模は拡大する見通しという。

出向者は今後2、3年の間、北陸新幹線の延伸(金沢—敦賀)と、北海道新幹線の延伸(札幌—新函館北斗)、相模鉄道と東急電鉄が乗り入れる神奈川東部方面線の3事業にあたる。トンネル掘削やレール敷設、駅舎や通信施設の整備などで、設計や発注、現場監督の業務を担う。

今回の試みは、国が2023年春を目指していた北陸新幹線の延伸開業が1年延期されたことがきっかけとなった。

国土交通省は昨年12月、敦賀駅(福井県敦賀市)の建設の遅れや加賀トンネル(石川、福井)で追加工事が必要となったことなどから、開業が1年遅れると公表。機構に対し、業務改善命令を出し、機構の理事長らが退任した。

改善命令を受けた機構が業務の見直しを行ったところ、技術者不足が表面化した。土木系職員は約650人で、採用抑制の影響などから10年間で約100人減少。北陸と北海道の延伸などを手がけるには人手が足りないことが判明した。機構にはJRの出向者が多いことから、私鉄にも出向を要請したところ、7社が応じた。

新幹線整備には高度の技術が必要で、7社は技術力向上につながるとして協力することを決めた。新型コロナウイルスの影響を受ける中で、働く場所の確保や人件費抑制も期待できる。

12人を出向させる近鉄の広報担当者は「コロナの影響で工事量が減っており、多数の出向を決めた。専門的な知見が得られる良い機会になる」と語った。

2人を予定する京王は「なかなか経験できないプロジェクトだ。自社の連続立体交差事業などに経験を生かせるうえ、人脈も広がる」と期待している。

機構は「確実に工事を進め、信頼を回復していきたい」としている。

◆鉄道建設・運輸施設整備支援機構=全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に整備計画が決まった新幹線5路線などの建設にあたる。新幹線整備では、線路などの鉄道施設を機構が保有し、JRに貸し付ける「上下分離方式」がとられている。

#出向 #開業


【独自】人手足りない新幹線延伸、私鉄7社も加勢へ…「技術向上につながる」垣根越え協力

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