京急電鉄では、鉄道を狙った妨害行為などが発生した場合でも迅速に対応できるように、2007(平成19)年から鉄道に対する妨害対策訓練を行っている。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかったものの、今年度で14回目となった。

京急川崎駅にて、鉄道に対する妨害対策訓練を実施

この訓練では、妨害行為があった際の初動対応の確認、関係箇所・関係機関への連絡・通報や実践的な避難誘導を通じて、関係機関との連携強化を図り、職員の意識を深めるようにしている。

今年の訓練は5月28日、京急川崎駅にある大師線用の1番線ホームで実施された。訓練に使用された車両は1500形4両編成。京急川崎寄りの車両の前で、利用者がホームに整列中という設定で訓練が行われた。車いす利用者や、白杖を持った人などが整列する中、スプレーと黒い袋を持った不審者も列に並んでいるという状態だった。



大師線用の1番線ホームにて訓練を実施。車いす利用者も被害に遭うことを想定し、訓練が行われた


列車を待つ利用者の中に不審者が。手に持ったスプレーを噴霧し、不審物を置いて逃走した

突然、不審者がスプレーを噴霧し、ホームに不審物を置いて逃走した。しばらくして、不審者の周辺にいた人たちがめまいや吐き気などの体調不良を訴える。

健康状態に問題のない利用者は、駅係員や構内店舗の店員により、ホーム奥の小島新田寄りの車両へ誘導された。駅助役は通報を開始。まずは利用者の安全を考え、消防に通報し、体調不良を訴える人の状態を説明する。続いて警察にも通報。不審物を置き、中央改札から改札外へ逃走したと伝えた。消防も警察も詳しく内容を聞き、それに対する人員を出そうとしている。やりとりの中で、爆弾の可能性もあるという判断もあった。

その後、川崎市消防局川崎消防署の消防士が到着。防護服を着た消防士が負傷者の状態を確認し、とくに状態の悪い人(訓練では人形を使用)を救助した。不審者が噴霧したスプレーには塩素が含まれていたという。



助役の通報を受けて、防護服を着た消防士が登場。状態の悪い人(人形を使用)の救護作業にあたる


爆発物処理隊も到着。安全のために盾を持って状況を確認し、X線検査を行った後、マジックハンドで不審物を回収した

神奈川県警察川崎警察署が手配した爆発物処理隊も現れる。ホワイトボードを使い、現地の様子を見て打ち合わせしつつ、対象物の外形観察を行った。盾を持って不審物に接近し、不審物のX線撮影を行い、解析する。内容物はリード線、火薬、電池など。爆発物の可能性が高いと判断した。不審物はマジックハンドを使って回収された。

なお、実際には消防と警察が同時に行動を行うものの、今回は訓練ということで、まずは消防、その次に警察が登場することになったという。最後は京急川崎駅長に報告し、訓練は終了となった。訓練の間、大師線の営業列車は2番線のみ使用していた。

■的確な連携、見せる警備を

今回の訓練では、爆発物処理の際、マジックハンドの操作などで多少手間取ったものの、全体的にはスムーズに訓練が行われた。

訓練後、川崎消防署長の間宮雄二郎氏が講評し、「今回の訓練では、的確な連携が行われたと考えています。今後もさらに連携を深めていきたい」と述べた。京急電鉄の取締役専務執行役員鉄道本部長、道平隆氏は、1972(昭和47)年のミュンヘン五輪でテロ事件が起こり、犠牲者が出たことに触れ、予防のために「見せる警備を」と最後に語った。

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京急川崎駅で鉄道妨害対策訓練 – 消防と警察が連携、不審物を処理

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