阪急電鉄は昨年11月、ホーム幅が狭いことで知られる神戸本線春日野道駅のバリアフリー工事を実施すると発表した。2022年度末頃に予定されるバリアフリー工事の完成後、春日野道駅の利便性は大いに高まると予想される。

阪急電鉄の春日野道駅。現在のホームの様子

■バリアフリー工事でホームの安全性を確保へ

阪急電鉄の春日野道駅は、神戸本線が三宮方面へ延伸した1936(昭和11)年に開業した高架駅である。駅構内は1面2線の島式ホームとなっているが、ホームや通路・階段の幅員が2.5~3.8mと非常に狭い。そのため、関西エリアを中心に「ホーム幅が狭い駅」のひとつとして知られている。

同駅は市道山手幹線と高架のJR神戸線(東海道本線)に挟まれた位置にあり、ホームの拡張が難しい状態だった。エレベーターも設置されておらず、すべての利用者に対して優しい駅とは言い難い。

バリアフリー工事にあたっては、ホーム東端(大阪梅田方)の通路部分を改造してホームを延伸し、ホーム西側(神戸三宮方)もスペースを創出した上でエレベーターを新設する。ホーム西側に新たな改札口も設置される。ホーム上に可動式ホーム柵を新設し、安全性を確保する。

春日野道駅では今後、現行改札口の美装化に加え、ホーム西側(神戸三宮方)にエレベーターを設置し、西改札口(仮称)を新設。ホームに可動式ホーム柵が設置される予定

予定では、2021年度春頃から工事に着手し、2022年度末頃の完成をめざすとのこと。あわせて春日野道駅と同じく「ホーム幅が狭い駅」である神戸本線・宝塚本線の中津駅についても、バリアフリー化の実現に向けた検討を進めるとしている。

■現在の利用実態は? 安全確保の「仕掛け」もあるが…

筆者は現在の春日野道駅の利用実態を確認するため、平日の午前中に駅を訪れた。ホームに降りて目につくのは、南側を走るJR神戸線の複々線である。春日野道駅は神戸三宮駅の西隣にあたり、阪神電気鉄道にも同名の駅が存在するが、JR神戸線にはない。新快速や特急列車、快速・普通列車が高速かつ高頻度で春日野道駅のすぐ南側を走行していく。

一方、駅の北側には市道山手幹線がある。「市道」とはいえ、山手幹線は尼崎市から神戸市長田区まで続く全長29.5kmの幹線道路である。春日野道駅の駅前では、国道顔負けの両側6車線になっており、当然ながら交通量も多い。神戸本線の複線とJR神戸線の複々線、さらに両側6車線の幹線道路に挟まれた春日野道駅のホーム拡張が容易でないことは、ひと目見ただけで納得がいく。

阪急電鉄の春日野道駅はこじんまりとした高架駅
山手幹線から撮影した阪急春日野道駅の西端(神戸三宮方)

ホーム幅が2.5~3.8mしかない春日野道駅では、安全確保のためのさまざまな「仕掛け」が存在する。電車がホームに入線すると、「電車にご注意」と大きく表示される電光掲示板があり、利用者に注意を促す。緊急時に列車を止める「列車非常停止ボタン」も複数設置されている。阪急電鉄の他の駅では見られないものとして、ホームに電車を模した「電車にご注意」のステッカーも貼られてある。いかに阪急電鉄が春日野道駅での転落事故防止に気を配っているかがわかる。

ホーム上には安全柵のほか、軽くもたれかかることのできる腰掛もある。しかし、ホーム上で利用者同士がすれ違う場合、どうしてもホーム端の黄色い線をはみ出すケースが見られ、他の駅のように「安全」とは言い難い。春日野道駅では、特急など上位の優等列車はすべて通過となっており、その際の速度は90km/hほどといわれる。速度だけでなく風圧も感じるので、初めて訪れた人は恐怖を覚えるかもしれない。

ホーム東側(大阪梅田方)は長い通路になっている。そこにベンチや時刻表が設置されており、高齢者は通路のベンチに座っていることが多い。春日野道駅は神戸の中核病院のひとつ、神戸労災病院の送迎バスが出発するところでもある。バリアフリー工事が完成すれば、春日野道駅から神戸労災病院への利便性が向上することにもつながる。バリアフリー化が進むことで、駅の利用者がさらに増加するかもしれない。

■阪神の春日野道駅、現在は新地区「HAT神戸」の玄関口に

阪急電鉄の春日野道駅から南へ、アーケード街となっている商店街を5分ほど歩くと、阪神電気鉄道の春日野道駅に着く。こちらは地下駅になっており、1934(昭和9)年に地下化されたという。

阪急電鉄の春日野道駅と、阪神電気鉄道の春日野道駅の間には商店街がある
阪神電気鉄道の春日野道駅は地下駅

阪神の春日野道駅も、以前は「ホーム幅が狭い駅」として知られ、島式ホームの幅は2.6mしかなかった。2001~2006年に実施されたリニューアル工事により、1面2線の島式ホームから2面2線の相対式ホームに変更され、三宮(現・神戸三宮)方に西改札口を新設。エレベーターが設置されるなどのバリアフリー化が進められた。

ちなみに、改札口前に設置された写真パネルによると、1934年に地下化された時点で3mのホーム幅を有していたが、車両の大型化にともない幅2.6mになったという。3mのホーム幅は、開業当時に定められていた軌道建設規程をギリギリ満たすものだった。

ホームの大阪梅田方に立つとエレベーターが見え、一見するとバリアフリー化が進んだ相対式ホームに見える。しかし2本の線路に挟まれた中央部をよく見ると、かつて使われていた島式ホームが残っており、あまりのホーム幅の狭さに驚きを禁じえない。

阪神の春日野道駅は、阪神・淡路大震災の後にできた新地区「HAT神戸」の最寄り駅であり、周辺には商業施設だけでなく、大型マンションも並び立つ。かつては工業地区が広がっていただけに、駅周辺の様相も様変わりした。バリアフリー化の進んだ阪神の春日野道駅は、「HAT神戸」の玄関口にふさわしい駅になったといえるだろう。

阪神の春日野道駅にはエレベーターが設置されている

阪神の駅と同様、阪急の春日野道駅もバリアフリー化によって利便性が高まり、駅周辺も大きく発展する可能性がある。一神戸市民として、バリアフリー化の完成を楽しみにしている。

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阪急電鉄の春日野道駅、ホーム幅が狭い! 昔は阪神の駅も狭かった

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