【バンコク=津田知子】国軍がクーデターを強行したミャンマーで、公務員や銀行員ら幅広い職種の国民が仕事をボイコットして抗議する不服従運動を展開している。一部の業務には支障が出始めている。国軍は法的措置もちらつかせて職場復帰を求めるが、運動が収まる気配はない。

 最大都市ヤンゴンで16日、若者らが中央銀行前に集まり、不服従運動への参加を呼びかけた。通貨発行や金融政策を担う中央銀行の機能をマヒさせるのが狙いだ。ヤンゴンでは運動の影響で民間銀行の業務が止まった。銀行員の男性(30)は本紙通信員に「中央銀行の業務停止は全てのビジネスに打撃となる。国軍もお手上げだ」と語った。

 不服従運動は、全国70の病院の医師や看護師らが職場ボイコットを始めたのを機に広がった。今では教育省などの官公庁のほか、金融機関や鉄道などの従業員も加わっている。ロイター通信によると、南東部モーラミャインでは16日、鉄道職員が線路に居座り、列車を停車させた。

 国軍は14日付の国営紙に「公務員は政府が変わっても職務を遂行しなければならない」との声明を出した。職場を放棄した職員に法的措置を取る考えも示した。

 国軍はクーデター後も政府の機能や経済を維持する姿勢を強調してきた。不服従運動の拡大で社会や経済が混乱する事態を強く恐れている。

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 拘束中のアウン・サン・スー・チー国家顧問の弁護士は16日、読売新聞の取材に対し、警察当局がスー・チー氏を新たな容疑で訴追したことを明らかにした。形式的な容疑を積み重ねることで拘束を長期化させ、民主勢力に圧力を加える狙いとみられる。

 弁護士によると、当局は、自然災害管理に関する法律に反したとの容疑をスー・チー氏にかけた。新型コロナウイルスの流行下で多数が参加する選挙活動を行ったことをことさら問題視したとみられる。この容疑は、スー・チー氏主導の国民民主連盟(NLD)政権で大統領を務めたウィン・ミン氏に適用されたものと同じだ。

 スー・チー氏は輸出入に関する法律違反の容疑で訴追されていた。小型ラジオを不法輸入し、無許可で使ったなどとするものだ。

 国軍は16日、クーデター後初の記者会見を開いた。報道官はスー・チー氏の訴追を「憲法にのっとって」進めると述べた。クーデターについても「憲法に基づき行われた」とした。

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 軍によるクーデターで緊迫するミャンマー情勢について、日米のミャンマー大使経験者に聞いた。(ワシントン支局 中島健太郎)

日本は軍・NLD仲介可能… #宮本雄二  元中国大使

 クーデターを起こした国軍は、民主化を否定して軍政に戻る選択肢はないと理解しているだろう。ミャンマー国民は10年間で自由と経済発展を享受し、軍事政権を決して認めない。

 日本は、国軍と与党の国民民主連盟(NLD)にパイプを持っている。軍幹部と長年のつきあいがある外交官もいる。

 軍司令官は再選挙を行うと言っている。難しいことではあるが、軍と与党の体面を傷つけずに仲介の努力を行うことはできると思う。

 その際、何よりも米国と十分な協議を行うことが重要だ。米政府は国内向けに厳しい態度を取らざるを得ない。ミャンマーの民主化は日米共通の目標であり、役割分担をしてミャンマーを民主化の道に戻そうと説得するべきだ。

 日本政府が慎重に言葉を選んでクーデターの直接の非難を避けているのは、軍を追い込まないためだ。ミャンマーは歴史的に中国への警戒心は強いが、中国はインフラ整備で影響力を強めている。ミャンマーを中国になびかせない状況をつくることが重要だ。

制裁 日本も同調を…デレク・ミッチェル 元駐ミャンマー米国大使

 クーデターがなぜこの時期に起きたのかについて様々な説があるが、私は単純な権力の行使だと思う。軍が民主化にいらだち、力を見せつけたのだ。ミン・アウン・フライン国軍最高司令官とアウン・サン・スー・チー国家顧問の関係は常に緊張状態にあった。軍には自分たちの権力が脅かされているとの恐怖心があったのだろう。

 クーデターに国民の支持はなく、決して容認されるものではない。米国は特に日本とともに行動をとるべきだ。日本は単に言葉だけでなく決定的な措置をとり、軍に警告する必要がある。

 米国の制裁の実効性は低いだろうが、事態を真剣にとらえていると示すことが重要だ。民主主義の価値観を重視し、同盟国と協調するという二つの原則を示しているバイデン政権の外交にとって重要な局面になる。

 バイデン政権は単独ではなく同盟国と協調して問題を解決すると言う。日本が決定的措置に踏み切らず米国と協調しないなら、米国に影響力がないことを世界に示すことになる。バイデン政権の価値観外交は最初から行き詰まってしまう。

 米国と同じ措置をとるべきだと日本に言うつもりはないが、日本はまだ何もしていない。ミャンマー国民の側についているとのメッセージは見えてこない。

 ミャンマーでは、軍だけでなくスー・チー氏を含む与党・国民民主連盟(NLD)、国民も日本を非常に高く評価している。日本がこの時期に国民の側についていないとの態度を示せば、日本の評価を傷つける。

 ミャンマーと中国の関係は全面的に良いわけではない。1980年代まで、中国が支援した反政府勢力と軍が戦った。軍はロシアとの関係は良好だが、中国の影響下に入りたいとは思っていない。


鉄道職員が線路に居座り列車ストップ…ミャンマー、公務員ら軍に抗議の仕事ボイコット

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