人口減などを背景に経営難にあえぐ各地のローカル鉄道が、オリジナル商品の販売に力を入れている。PR効果や収支の改善などが目的で、赤字を逆手に取った自虐的な商品名で話題を呼んでいるものも。新型コロナウイルスの影響が経営難に拍車をかける中、各社は「逆風をはね返すきっかけに」と意気込む。(受田至弘、桜木剛志)

オリジナル商品が話題

 長崎県島原市と諫早市をつなぐ島原鉄道(島原市)は昨年11月、赤字しか書けない「赤字ペン」を売り出した。3色ボールペンを模した作りだが、全て赤色。1本550円(税込み)で販売したところ、用意した5000本が2週間足らずで完売したため追加販売を決定。新たに5000本を発注し、早ければ今月中にも主要駅などで販売を再開できる見通しという。

 毎月の鉄道収入は、全国に緊急事態宣言が発令された昨年4月以降、前年同期比で3〜5割減となった。そうした中、永井和久社長が「赤字の会社にしか作れないものを」と考案。SNSには「さわやかな自虐が立派」「発想がすごい」といった反響が相次いだ。営業統括部主任の島田大輝さん(37)は「『黒字ペン』が販売できるよう、社員一同頑張りたい」と力を込める。

 千葉県銚子市の銚子電鉄は2018年から、経営状態の“まずさ”をアピールしようと「まずい棒」と名付けたスナック菓子を販売し、200万本以上を売り上げた。コロナ禍に苦しむ今年度は老朽化した車両のさびに目を付け、「わさび味」を加えた。

 それでも20年3月期決算で、最終利益が4期連続の赤字を計上するなど厳しい経営は続く。竹本勝紀社長は「諦めず、売れるものは何でも売る」と迷いはない。

 線路に敷き詰められた石に目を付けて商品化したのは、新潟県上越市のえちごトキめき鉄道だ。昨年6月に同社と銚子電鉄、天竜浜名湖鉄道(浜松市)の線路の石を缶詰に入れ、3缶1セット1500円(税抜き)でオンライン販売を始めたところ注文が殺到した。

 「最初は本当に売れるのか疑問だった。なかなか手に入らない『レア感』が評判になったようです」と営業課の池田香羊(かよう)さん(42)。鳥塚亮社長も「仕入れ値はゼロで、消費期限もない」と胸を張る。

 えちごトキめき鉄道は昨年4月に運賃を値上げしたが、コロナ禍で上半期の旅客収入は前年同期比で約5割に落ち込んだ。池田さんは「厳しい風雨に耐えた線路の石のように、固い意志でコロナ禍を乗り切りたい」と話した。

 公共交通に詳しい宇都宮浄人・関西大教授(交通経済学)の話「オリジナル商品は、路線の知名度を上げたり親しみを持ってもらったりするきっかけになるはずだ。ただ、こういった取り組みだけで路線を維持するのは難しいので、官民連携で利便性の向上や路線の魅力づくりを進め、平時の利用者増を図ることが重要だ」

コロナで利用者減に拍車

 ローカル鉄道を取り巻く環境は厳しさを増している。背景には人口減やマイカーの普及などがある。

 国土交通省によると、新幹線や都市鉄道などを除く地域鉄道(ローカル鉄道)事業者は95社(昨年3月1日現在)。2018年度決算では、約7割の事業者が経常収支ベースで赤字を計上した。00年度以降に廃止された路線は、延べ44路線計1041.9キロに上る(昨年5月7日現在)。

 昨春以降は、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などが利用者減に拍車をかけているという。

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ローカル鉄道、自虐に活路…「赤字ペン」「まずい棒」

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