郷愁誘うレトロな外観−−。100年超も変わらぬ姿で町民たちと共に歩んできた三重県玉城町唯一の鉄道駅、JR東海の参宮線「田丸駅」の木造駅舎を残そうという動きが高まっている。町は同駅舎を歴史的価値があると判断し、町議会での協議を経た後、所有者のJR東海の許可を得て耐震調査を実施し、保存や活用に向けての方向性を定めていく計画だ。【小沢由紀】

 町担当者は「町民に親しまれてきた大切な駅舎で、町の玄関口。保存、活用できるよう慎重に調査と交渉を進めたい。取り壊しは避けたい」と力を込める。町民たちも昨秋に「田丸駅舎を中心にまちづくりを考える会」を組織し、駅を核にしたまちづくりが動き出した。

 同駅は1893年に参宮鉄道(当時)の津—宮川間が開業した際に設置された。駅舎は1912年に建てられた平屋の木造建築で、現在は参宮線の駅として使われている。2018年の1日あたりの利用客数は551人だ。

 同駅舎の保存に向けて機運が高まってきたのは、同線の「山田上口駅」(伊勢市)の趣ある木造駅舎が19年に解体され、改札や待合室、駅員室などをなくし、必要最小限の設備に簡素化されたことがきっかけ。JR東海は駅舎の老朽化や耐震化などを理由に、管内の無人駅の駅舎を中心に、簡素化を進めていて、町民たちの間に「もしかして田丸駅も……」という不安が広がった。

 町が昨年9月に実施した町民を対象にしたアンケートによると、60・5%が「そのまま残してほしい」、7・2%が「移築して文化遺産として保存してほしい」と回答していて、町民たちの駅舎への思い入れは強い。

 町はJR東海から「田丸駅は歴史ある駅舎で希少だが、取り壊す」方針であることを確認している。町は取り壊しだけは避けたい考えで、JR東海が所有し、このまま駅舎として活用する▽駅舎を町に譲渡してもらい、保存活用していく−−などの方策を探っている。駅舎を鉄道会社から譲渡してもらい活用している例は、県内では亀山市のJR西日本の加太駅があるという。

 町は、駅舎保存への機運をより高めていくため、ふるさと納税の返礼品の一つに田丸駅発着の「語り部と歩く『日本続100名城・田丸城』」の観光ツアーを用意。また、昨年10月に趣ある駅舎をデザインしたスタンプ(直径5センチ)を作製して、駅に親しんでもらおうと知恵を絞っている。

 町担当者は「町の史跡・田丸城跡や玄甲舎も近く、駅の魅力は観光誘客にもつながる。愛着ある駅舎だからこそ、文化財登録も視野に入れながら、拠点にしたまちづくりを考えていきたい」と話している。

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「レトロな田丸駅舎、残したい」 ふるさと納税で観光ツアーも 三重

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