森や畑が広がる小さな集落の中にある青森県おいらせ町北部の無人駅「向山駅」。昭和の中ごろには多くの人が利用したが、今ではホームで電車を待つ人も数える程度だ。この駅に近年、地元の有志らによって小さなミュージアムがつくられ、鉄道ファンらでにぎわうスポットとなっている。【江沢雄志】

 信号標識やポイントの切り替えに使うハンドル、壁掛けの古い運賃表……、ミュージアムを訪ねると年期の入った鉄道関係の備品がたくさん並んでいた。「これは全部、国鉄時代のものです」。管理する向山駅愛好会会長の中村淳悦さん(67)が自慢げに語った。

 日本が高度経済成長に沸いていた1961年。同町に隣接する同県六戸町に国策で製糖会社の工場が誘致されると地元の「足」として細々と運営されていた向山駅の様子は一変した。

 工場の最寄り駅となり、16人の国鉄職員が配されたほか、砂糖の原料となるビートを運ぶ貨物列車用のホームも作られた。当時、父親が駅職員だった近所の相坂晃彦さん(67)は「このあたりはビートを運ぶ車がたくさん走って、人通りも多かった」と振り返る。

 しかし、おいらせ町で行っていたビートの連作がうまくいかず、工場はわずか5年で閉鎖。駅は急速に寂れ、70年代後半からは国鉄職員が置かれなくなり、嘱託職員が業務を代行した。そして、92年に無人駅となった。

 この駅が再び活気づき始めたのは、それから約20年を経た2010年。地元の町内会長だった中村さんが地域の人から「駅員室の中を見たい」と相談を受けた。管理する青い森鉄道(青森市)からカギを借りて中に入ると、「つい昨日まで駅員が仕事をしていたかのような光景だった」。

 机の上は書類が山積みで、かつて駅員が使っていたストーブやダイヤル式のテレビ、宿直用の2段ベッドなどが当時のまま残されていた。さらに片付けを進めると、国鉄時代に駅で使われていた備品が次々と見つかった。

 中村さんは地元住民らと駅員室を整備。見つかった備品などを整理し、11年10月から「ミュージアム」と銘打って無料で公開すると、全国から鉄道ファンが来るようになった。

 中村さんは「理由はどうあれ貴重な資料が当時のまま残っていたのはよかった」と振り返る。現在は新型コロナウイルスの影響で休館しているが、「長く続けて次の世代にも引き継ぎ、今後もミュージアムを通じて地域が活性化してほしい」と願っている。

青い森鉄道向山駅

 青森県おいらせ町の無人駅。1922年に信号の切り替えを行う「木ノ下信号場」が置かれ、34年から駅が開設された。昨年の1日の平均乗降客数は67人。

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「国鉄時代」満喫 青森の青い森鉄道向山駅 地元有志が無料公開

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