新型コロナウイルスに世界中が見舞われた2020年。都市への移動を制限する「ロックダウン」の声も上がり、「新しい日常」に大きく揺れる1年になりました。
「ステイホーム」が呼びかけられた2020年を象徴する場面を「移動」で振り返っていきましょう。
1、封鎖された空港

新型コロナウイルス感染者が日本国内で初めて確認されたのは1月。そこから感染は拡大し、3月には中国・韓国を皮切りに、欧州各国、エジプト、イラン……と入国制限に踏み切った日本。世界中でも「鎖国状態」が相次ぎました。
11月からは中国との間でビジネス関係者などの往来が再開され、12月14日には全日空が4月の緊急事態宣言以降初めて国際線を就航させ、制限が緩和されつつあるものの、航空各社が大きく業績を落とすなど、いまだに爪痕が深く残っています。
2、ガラガラの新幹線ホーム
緊急事態宣言下で迎えた今年のゴールデンウイーク。例年なら帰省客でごった返す東京駅のホームも閑散としています。5月には東海道新幹線の「のぞみ」の運行本数が2019年度平均比6割削減の「間引き運転」が発表されるなど、本数自体も大きく影響を受けました。
3、ガラガラになった高速道路
国土交通省の8月の発表によると、お盆休みの8月8〜10日の交通量は全国で対前年比5〜6割、都市高速で同じく7〜8割にとどまるなど、高速道路利用も激減。一方で、都内では買い占めも進み、改めて「物流」の重要性を痛感することになりました。
4、消えた満員電車
東京都の #小池百合子 都知事が2016年の選挙で「満員電車ゼロ」を公約に掲げて早4年。東京の朝の風物詩であり続けた満員電車も、今年は意図しない形で「消える」ことに……。
緊急事態宣言が解除された後も、来年春には都内の主要路線の終電がすべて早くなる見込みとなっており、2021年の通勤通学風景はどうなるのでしょうか。
5、窓の開いたタクシー(消えたタクシー)
タクシーの多くに設置されるようになった「すだれ」。街を歩いていても窓を開けたタクシーを見かけることも増えました。感染拡大防止の徹底をしながらの「新しい日常」が続いています。
6、増えたUber Eats
満員電車とは対照的に都内で特にみる機会が多くなったのが「Uber Eats」。「ステイホーム」が呼びかけられ営業時間の短縮を求められた飲食店業界では、テイクアウトができるようになるお店も増えました。
7、増えた自転車通勤
通勤電車での「密」をさけようと見る機会も増えた自転車通勤。
自転車業界にもその影響は及び、自転車販売大手のあさひの株価は急騰し8月24日には一時、1989円と株式分割後の上場来高値を9年ぶりに更新。
自転車部品大手シマノの株価も8月4日に上場来高値を更新し、時価総額は一時2兆円を突破。JR西日本を上回る事態になりました。
8、増えた自動車通勤
また、駐車場シェアリング最大手のakippa(大阪市)によれば、感染拡大が本格化する前(2月4〜10日)と、緊急事態宣言中(4月14〜20日)、緊急事態宣言解除後(5月26日〜6月1日)の期間で、同社の駐車場を利用した人の「利用目的」を調べた結果、「通勤・通学」で使われた回数は、コロナ拡大前に比べ、宣言中は約1.5倍、解除後は約2倍に増えたといいます。
満員電車で通勤していた人たちが車通勤に切り替える機会も増えたかっこうで、「朝夜の渋滞」が悪化した印象を持つドライバーも多いのではないでしょうか。
9、年末帰省の高速道路
12月14日、年末年始の帰省ラッシュを前に、28日から全国一律のGoToトラベルキャンペーンを停止することが発表されました。今年は帰省をしないという選択肢をとる人も多そうです。
一方で、移動する場合も公共交通機関は使わないという人が多くなっているという報道も出ています。年末年始の渋滞の行方はどうなるのでしょうか。
10、ランナー
「ステイホーム」が呼びかけられた2020年。緊急事態宣言下では学校も臨時休校となり、家族みんなが家にいるという時間も増えました。
いくら家族とはいえ、非日常が続く中では息苦しくなってしまうことも……。
そんなとき、気分転換で家を出てみると、「マスク姿で走るランナーをみた」「散歩する隣人をみかけた」という人も多いのではないでしょうか。
大手スポーツ用品メーカーのアシックスの発表によれば、新型コロナウイルス感染拡大を受けて世界12カ国の週1回以上エクササイズをしている一般人を対象にした「ランニングに関する意識調査」で、約36%の人が外出自粛前よりも活発に運動しているという結果が出たといいます。
「3密」を避けながら続く「新しい日常」。来年はいったい、どんな1年になるのでしょうか。
(「文春オンライン」編集部)