JR西日本の観光列車「WEST EXPRESS銀河」の2021年の運行予定が12月16日に発表された。2021年は春に京都〜出雲市間の夜行便として、夏から秋にかけては京都〜新宮間での運行がなされる予定だが、京都〜新宮間は新宮行きが夜行、京都行きが昼行の計画である。

新宮方面への運転計画が発表されると、鉄道ファンがざわついた理由は、この区間に20年前まで珍しい夜行普通列車が走っていたためだ。

「新宮夜行」の客層は…

WEST EXPRESS 銀河は117系電車を改造し、簡易寝台を装備して昼夜兼用の運転に対応、実際に2020年は9月から京都〜出雲市間を山陽線・伯備線経由の夜行便で運転、12月からは京都〜下関間の昼行便として運転中だ。深青色の車体と夜行に対応した車内設備で、かつての夜行寝台列車「ブルートレイン」を意識したようなコンセプトが鉄道ファンから歓迎された。

117系電車は直流なので、山陰・山陽方面の他に運行可能なJR西日本エリアは紀勢線エリアになる。10月8日には和歌山県と県下7市町村が列車の和歌山方面への運行を求める要望書を提出していた。

この区間には2000年まで通称「新宮夜行」という夜行普通列車が走っていた。もとは天王寺駅から紀勢線方面に走っていた客車夜行列車の流れをくむもので、1986年からは165系電車に車両が変わり、1990年からは新大阪始発として新宮に向かっていた。

「太公望列車」のあだ名の由来は?

ただ、当時の列車は普通列車扱いで、日本旅行からツアー商品扱いで発売されるWEST EXPRESS 銀河とは性格が大きく異なる。関西在住の鉄道ライター・新田浩之さんによれば、「紀伊方面への最終列車を兼ねていたので終電代わりに利用する人と、紀勢線沿線の釣り場に向かう釣り人が愛用していたようです。旅行者向きの列車ではなかったですね」ということだ。釣り人がよく乗るため「太公望列車」ともあだ名された。

運行時刻は新田さんによると1987時点では天王寺発が23時、深夜でもこまめに停車して新宮着が翌朝5時1分なので、全く観光には向かない時間帯だ。WEST EXPRESS 銀河であれば特急「はるか」「くろしお」と同じルートで京都・新大阪・天王寺を経て阪和線・紀勢線に入ると予想されるが、白浜や新宮にちょうどよい時間帯に着くよう、途中駅で大幅な時間調整がなされるだろう。なお新宮からの京都行きは昼行のみの運転だ。

昼行・夜行 ニーズはどちらに

既に運行済みの山陰方面・山陽方面の客層はというと、列車を見た新田さんは、「ファミリー層と、鉄道ユーチューバーのような人が目立っていました。山陰への夜行便の方が利用率が高かった印象ですが、大阪から下関まで日中約12時間かかる昼行便より、出雲の観光地に向かいたいニーズの方が多く、時間も有効に使えるためでしょうか」と話した。

117系自体が重厚な国鉄型で、デザインや車内設備からノスタルジックな夜行列車気分も味わえる。あえて夜行便を設定したのは旅行者層に加えて「新宮夜行」を知る鉄道ファン層の取り込みも意図しているだろうか。一方で新宮からの京都行きは昼行のみだが山陽線ほど運行距離は長くなく、上下便ともダイヤと乗車率に注目したいところだ。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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「太公望列車」の再来? WEST EXPRESS銀河「京都〜新宮」に鉄道ファンが注目する理由、教えます

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