茨城県ひたちなか市に、鉄道車両を「ご神体」とする前例のないユニークな神社の建立を目指す市民団体がある。代表の佐藤久彰さん(51)が地域の活性化イベントを手がけるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災だった。「みんなが笑顔になれる場所」を目指し、震災から10年を迎える21年春には、「ご神体」の整備を始める計画だ。

生まれも育ちもひたちなか市。同市に住み、県内企業を相手にマーケティングや新規営業先の開拓を請け負ってきた。しかし、震災で実家が一部損壊。古くからの友人も亡くなり、取引相手も災害復旧に追われるなど、仕事にならない時期が続いた。

不安と同居する日々の中、転機となったのが、復興に向けた地域振興に取り組むボランティア団体との出会いだった。震災前までも地域おこしに興味はあったが、一歩を踏み出せなかった。「みんなが笑って楽しくならないと」。前を向くことを決めた。

15年に「三鉄ものがたり実行委員会」を設立。ひたちなか周辺の商店街などと協力し、鉄道関連のイベントを手がけてきた。

元々、熱心な鉄道ファンというわけではなかったが、同県大洗町を舞台とする人気アニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」などの成功を目の当たりにして、「趣味性の高いイベント」の集客力に注目。昭和や平成初期の気動車が走るひたちなか市の第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」と協力し、「鉄道ファンをひたちなかに集めたい」と考えるようになった。

「鉄道神社をひたちなかの観光名物に」。神社建立計画は佐藤さんのライフワークの一つとして始まった。ご神体は、1962年製造のディーゼル気動車「キハ222」。車両は71年からひたちなか海浜鉄道で運行し、無事故のまま2015年に引退した。特殊な窓が特徴で、ファンが一目見ようと全国から足を運ぶ。「産業遺産」とも呼ばれる名車だ。

車両は現在、同鉄道の阿字ケ浦駅の屋外に保管されている。駅は太平洋に面し、常に潮風にさらされている車体は塗装のはがれやさびが目立つ。整備費用調達のため、実行委はクラウドファンディング(CF)で380万円を募っている。成立すれば、同鉄道監修で整備を始める。佐藤さんは「地震の前も、個々の企業を助けてきたが、震災を経て『点』がつながり、『面』での支援をできるようになった。神社の建立で、ひたちなかを盛り上げたい」と話した。

CFは12月20日まで。支援は(https://readyfor.jp/projects/jinjya)で受け付ける。【長屋美乃里】

#車両 #市民団体 #ひたちなか市 #震災


「笑顔になれる場所」を 鉄道車両“ご神体”建立めざす市民団体、きっかけは…

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