冬晴れの空に蒸気機関車の高い煙が上がり、汽笛が響き燃える石炭の香りが広がる。東武鉄道が12月6日に南栗橋車両管区で開催した「東武プレミアムファンツアー」の中で、蒸気機関車C11形の重連運転が公開された。

東武鉄道が真岡鐵道から譲り受けたC11形325号機を先頭に、蒸気機関車2機が重連運転

東武鉄道は例年、この時期に「東武ファンフェスタ」を開催していたが、今年はコロナ禍の影響で中止に。それに代わるイベントとして、人数を限定してのファンツアーが行われた。その目玉が、「SL大樹」に使用される蒸気機関車の重連運転だった。

■C11形325号機が先頭に立ち、C11形207号機が補機に

「SL大樹」はこれまで、JR北海道から借り受けた蒸気機関車C11形207号機の牽引により、運行されてきた。今後、運行体制をさらに強化するため、真岡鐵道で活躍したC11形325号機を譲り受け、12月26日から「SL大樹」の機関車に加わる。年末年始は2機体制での運行となる。

C11形325号機が導入された後、C11形207号機は2021年1月中旬から半年の検査に入るものの、「SL大樹」は運行を継続。同年夏以降、日光・鬼怒川エリアでSL列車の毎日運転が可能になる。

「東武プレミアムファンツアー」では、C11形325号機とC11形207号機が南栗橋車両管区で重連運転を行い、ツアー参加者たちが乗車した。

推進運転を待つ蒸気機関車2機と14系座席車
まずは推進運転で走行する
多くのツアー参加者たちが待つ中、C11形がやって来た
先頭はC11形325号機
構内踏切を通過する
「大樹」のテールマーク

新しく東武鉄道にやって来て、12月2日に火入れ式を行ったC11形325号機が本務機として先頭に立ち、C11形207号機が補機となって2両目に連結されている。重連運転とは言っても、電気機関車やディーゼル機関車のように総括制御を行うことはできず、それぞれの機関車に機関士と機関助士がいる。その後方には、3両編成の14系座席車。保安装置を搭載した車掌車はない。

まずは推進運転で、南栗橋収容線を北から南へ走行する。「大樹」のテールマークが現れると、客車、機関車の順で姿を表す。機関車から吐き出された煙は進行方向の後方、北側へと流れていく。南栗橋車両管区をまたぐ東北新幹線の高架橋のあたりで運転を止め、今度は前方へ走行する。ゆっくりとした速度で収容線を走り、煙を南側へときれいに流していく。構内では、ツアー参加者の多くが重連運転を行う蒸気機関車2機にカメラを向けていた。

■発車時の衝撃と「ハイケンスのセレナーデ」が新鮮

その後、ツアー参加者とともに報道関係者らも試乗した。14系座席車の2号車に乗り、青いモケットでストッパーのない簡易リクライニングシートに座る。

報道関係者らも乗車
方向幕も「大樹」
差し込み式の号車番号
列車名も差し込み式
14系の車内は満員に近い
青いモケットの簡易リクライニングシート

発車の合図とともに汽笛が鳴り、ゴツン、ゴツンと強い衝撃がある。電車の場合、多くの車両が密着連結器を使用しているため、連結器に「遊び」がなく、スムーズに発車する。しかし、客車列車だとそうはいかない。密着自動連結器だと、緩衝装置があっても衝撃が発生しやすく、それに伴う音も出る。ましてや牽引ではなく、推進運転だ。

車内チャイムは寝台特急などで使用されていた「ハイケンスのセレナーデ」。連結器の衝撃音とともに、普段の鉄道では体験できないような様子を感じることができた。車内の窓からは、南栗橋車両管区で待機している東急電鉄の5000系・8500系、東京メトロの8000系などの姿を見ることができた。

カーブにさしかかると、総合教育訓練センターの脇を通る。東北新幹線の高架下で、強い衝撃とともに止まる。

運転台に乗る機関士
C11形325号機の動輪。きれいに整備されている
C11形207号機の動輪もよく整備されている
本務機と補機が連結している
機関車から強く蒸気が吐き出される
黒い煙が高く空へと上っていく

再度、汽笛が鳴り、前進を開始する。燃える石炭の香りが車内にも漂い、蒸気機関車の牽引する列車に乗っているのだと実感させられる。再び元の位置に戻り、下車した。

■C11形325号機・207号機の違いは – C11形123号機も整備中

C11形は小型のタンク式蒸気機関車として全国で普及し、支線での運用や入換運転などに使用された。C11形207号機は1941(昭和16)年、日立製作所製で、2灯の前照灯が特徴。C11形325号機は1946(昭和21)年、日本車輌製造により製造され、前照灯は1灯、デフレクター(除煙板)にくり抜きがあるという違いがある。

2021年冬には、東武鉄道のC11形に新たなラインナップとして、C11形123号機が加わる。この蒸気機関車は元から123号機だったわけではない。現役時代、江若鉄道のC11形1号機として活躍を始め、その後は北海道の各地で譲渡を繰り返し、廃車後は保管されていたものが、東武鉄道の手により、C11形123号機として蘇る。2020年11月1日に東武鉄道は創立123周年をむかえ、SL事業の転換期であり、唯一同一形式での3機体制となるため、「1→2→3(ホップ、ステップ、ジャンプ)と飛躍していくことを車両番号として表現」すべく、123号機にしたという。

C11形123号機のナンバープレート
C11形123号機の主台枠
C11形123号機の車輪
運転台もきれいに
ひとつひとつ分解して整備される
車掌車も整備されていた

イベント当日、検修庫内で復元作業の様子が公開された。解体され、主台枠だけとなった機関車。動輪だけでなく、先輪と従輪も整備される。運転台やばらばらになった部品も公開され、きちんと手が加えられていることがわかる。庫内ではC11形123号機の新品のナンバープレートも展示された。保安装置を搭載するための車掌車も、検修庫内でバッテリーを搭載するなどの作業が行われた。

今後は「SL大樹」での重連運転だけでなく、3重連運転を行う計画もあるという。迫力の走行を見られる日が待ち遠しい。

#鉄道イベント #蒸気機関車 #東武鉄道


「東武プレミアムファンツアー」C11形325号機・207号機が重連運転

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