西武鉄道が11月8日に開催した「Laview ブルーリボン賞受賞記念 車両基地まつり in 横瀬」。イベント名の通り、特急車両001系「ラビュー」が鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞したことを記念し、横瀬車両基地を会場に開催された。

ブルーリボン賞受賞車両「ラビュー」「レッドアロー」が横瀬車両基地に並ぶ

イベント当日、会場では1970(昭和45)年にブルーリボン賞を受賞した5000系「レッドアロー」と、今年受賞した001系「ラビュー」が並び、新旧の特急車両が“共演”を果たした。10000系「ニューレッドアロー」も展示され、「レッドアロークラシック」も臨時特急列車として飯能~西武秩父間で運行された。

■斬新な外観の「ラビュー」、赤いラインが特徴的な「レッドアロー」

特急車両001系「ラビュー」は、2019年3月16日のダイヤ改正に合わせてデビュー。建築家・妹島和世氏監修の下、「いままでに見たことのない新しい車両」をめざし、開発された。

前面は球面形状ガラスを採用し、客室窓には足もとに届くほどの大型窓を採用。外観はシルバー1色だが、車内の座席は黄色を基調としたソファのようなシートになっており、コンセプト通りの斬新な外観と、ゆったりした車内空間が両立されている。この外観デザインをはじめ、良質な雰囲気を備えつつ機能面も充実した車内設備、省保守性や信頼性などが評価され、2020年のブルーリボン賞に選ばれた。



丸みを帯びた前面が特徴的な「ラビュー」。一方、「レッドアロー」は武骨な顔立ちが印象的

一方、5000系「レッドアロー」は、1969(昭和44)年の西武秩父線開業に合わせてデビューした、西武鉄道初の特急車両。翌年にブルーリボン賞を受賞した。

車体はクリーム色を基調に、側面の上部・下部にあしらった赤いラインが特徴的。前面はステンレス化粧板に社章が掲げられ、その下に愛称板が掲出されている。車内は1両ごとに色の違う回転式クロスシートを採用していたという。「レッドアロー」は1995(平成7)年までに10000系「ニューレッドアロー」に置き換えられ、翌年の「小さな旅」をもって全車引退したが、一部編成が富山地方鉄道に譲渡され、いまなお現地で活躍中だ。

■歴代車両・保線実演・各種物販、「レッドアロークラシック」の姿も

「Laview ブルーリボン賞受賞記念 車両基地まつり in 横瀬」の会場では、「ラビュー」「レッドアロー」の展示をはじめ、西武鉄道が保存している旧型車両の展示も実施。鉄道好きの親子をはじめ、大人の鉄道ファンも多く見学しており、終始にぎやかな様子だった。



横瀬車両基地では、10000系「ニューレッドアロー」をはじめ、歴代の電車や機関車が来場者を歓迎した

保線作業の実演も行われ、レールのジャッキアップ・切断・移動作業を実演。普段なかなか見られない作業で、作業員同士が連携を取り、作業を進める姿が印象的だった。

その他、こども限定で西武鉄道の制服を着て記念撮影できるコーナーや、グッズ販売、鉄道部品販売(事前申込み制)も実施。グッズ販売に関しては西武鉄道のほか、秩父鉄道・横瀬町・西武秩父駅前温泉「祭の湯」などが参加していた。



作業員同士が連携を取り合い、保線作業を実演
物販ブースに西武鉄道関連の商品が並ぶ
こども制服コーナー。「ラビュー」を背景に記念の1枚
1日限定で西武秩父線に戻ってきた「レッドアロークラシック」の雄姿

イベント当日、飯能~西武秩父間では臨時特急列車が運行され、一部列車は「レッドアロークラシック」による運行だった。すでに池袋線系統から撤退した同車が再び池袋線・西武秩父線を走る姿は、会場の横瀬車両基地からも見ることができ、こちらも参加者たちの注目の的となっていた。

なお、この日のイベントにて、マイクロエースがNゲージ鉄道模型で「ラビュー」を製品化すると発表している。配布された広告によると、2021年度下半期に発売予定で、製品仕様・価格・品番は決定し次第、追って案内されるという。続報を楽しみに待ちたい。

■「ラビュー」に乗車、いままで体験したことのない車内を体感

イベント終了後、筆者も「ラビュー」に乗車した。西武秩父駅16時24分発の池袋行「ちちぶ36号」を選択し、特急券は14時頃に券売機で購入したが、発車直前に改めて空席案内を見たところ、「満席」と表示されていた。

「ちちぶ36号」は定刻通り西武秩父駅を発車。秩父観光の帰りと思われる乗客に加え、「車両基地まつり」の参加者と思われる家族もいて、すでに座席の大半が占められている。筆者の隣にも乗客がいて、通路を挟んで隣に座った知り合いと談笑していた。ちなみに、特急「ちちぶ」は飯能駅で進行方向が変わるため、西武秩父駅を発車する時点で座席が逆向きの配置になっており、ほとんどの乗客がそのまま乗車していた。

横瀬駅を発車した後、次の停車駅である飯能駅に向けて秩父の山を駆け下りていく。今回は日が沈みかけている時間帯に乗車したため、山の風景がだんだんと見えなくなっていった。「ラビュー」の走行は非常に静かで、山岳区間であってもなめらかに走る。客室窓が非常に大きく、日中に乗車すれば秩父山系の景色を思う存分楽しめただろう。

多くの乗客を乗せ、昼すぎの西武秩父駅を発車する「ラビュー」
黄色を基調としたシート(2019年2月、編集部撮影)
デッキ部やトイレも黄色を基調としたデザイン(2019年2月、編集部撮影)

黄色を基調とした「ラビュー」の座席は、肘掛けが背もたれと一体化し、リクライニングすると肘掛けも一緒に動く。頭を支える枕は、手動で高さを調節するしくみになっている。その他、テーブル(背面・インアーム)、AC100V電源、カーテンも使用可能。夜間になると照明が暖色に調光され、客室内は明るくあたたかな雰囲気になった。各号車のデッキ部も黄色を基調としたデザインになっており、1・5号車にトイレが設置されている。

なお、「ラビュー」では車内販売が行われないので、弁当・軽食や飲料など事前に買っておくことが望ましい。西武秩父駅から乗車する場合、駅に隣接している「西武秩父駅前温泉 祭の湯」の売店などで購入できる。

■リビングのような乗り心地、ゆったり座って池袋駅へ

すっかり暗くなり、外の風景も見えにくくなったが、JR八高線と接続する東飯能駅を通過した後、進行方向左側に池袋方面からの線路が見え、17時3分に飯能駅に到着した。横瀬駅から飯能駅までなめらかに駆け下りてきた「ラビュー」は、飯能駅から先も静かに、かつ快適な高速走行を行い、入間市駅、所沢駅の順に停車していく。

西武秩父駅を発車した直後は話し声の聞こえていた車内も、池袋駅に近づくにつれてだんだん静かになった。あまりの乗り心地の良さに、筆者もいつの間にか眠りに落ちていた。アナウンスが流れ、目が覚めたときにはすでに椎名町駅を通過しており、終点の池袋駅には17時47分に到着した。

雰囲気のあたたかな客室と、ゆったり体を預けられる座席、そして眺望に優れた大きな窓。快適性が高く、リビングでくつろいでいるような印象さえ覚えた。「ラビュー」はまさしく「いままでに見たことのない新しい車両」だと実感した。単なる移動手段ではなく、この列車自体を目的のひとつとして出かけるのも良いかもしれない。西武鉄道の50年ぶりとなるブルーリボン賞受賞車両「ラビュー」のこれからにも期待したい。

#西武鉄道 #電車 #特急列車


西武「ラビュー」「レッドアロー」並ぶ – 帰りは「ラビュー」乗車

関連記事

東武トップツアーズ、東武特急りょうもう号で行く上毛電気鉄道700形電車運転・車掌体験ツアーを販売

AIによる画像認識で、コロナ禍におけるのと鉄道利用実態の把握を目指す。国際高専の学生プロジェクトが穴水駅にカメラを設置。8月5日(木)15時30分より穴水駅の上り、下りのホームの計6か所

旭化成のクラウド型生鮮品物流ソリューション「Fresh Logi(TM)」とJR東日本水戸支社鉄道網を活用した新たな生鮮品物流システムの開始

マホロバ・マインズ三浦、”おもちゃの鉄道で遊べる”家族向けコンセプトルームの販売開始

京都市営地下鉄烏丸線の新型車両、京都の伝統産業素材・技法を活用

名古屋市交通局「市営交通100年祭」PR動画を公開 – 懐かしい写真も