来年、東京都交通局は発足110周年を迎える。当時は東京都ではなく東京市。交通局も電気局という部局名だった。名称は違うものの、交通局は電気局を前身としている。そのため、2011年には交通局発足100周年を記念する花電車が荒川線を走った。

大塚駅南口

100年の歳月を経て、東京を網の目のように走っていた都電は荒川線だけを残すのみになった。都電を懐かしむ高齢者は多いが、いまや都電は東京の片隅を走っているに過ぎない。同じ東京都が運営する地下鉄と比べても、その規模は小さい。地元民・沿線住民でなければ、荒川線に乗る機会はそんなにないだろう。

大塚駅は、山手線の駅で都電と接続する唯一の駅でもある。荒川線のホームには、都電待ちの乗客が列をつくる。山手線の高架下に設けられた荒川線ののりばは少し前までとてもレトロな雰囲気を放ち、昭和の面影を感じさせた。

ここ数年来、大塚駅とその周辺は大規模改良工事によって大きく様変わりした。今でも工事は続行しているが、再開発によって駅ビルが立ち、北口・南口にもリニューアルした駅前広場やロータリーがお目見えしている。

大塚駅の北口は急ピッチで工事中

隣の池袋駅が若者の街としてにぎわう一方、大塚駅は長らく垢抜けなさを残す駅でもあった。それが大塚駅のいいところでもあるのだが、どうしてもスポットライトを浴びる池袋駅の影に隠れた存在になっている印象は否めなかった。

しかし、歴史を紐解けば大塚駅は明治・大正・昭和にかけてにぎわった。そのにぎわいは池袋駅を凌ぐほどで、その栄華は歳月とともに薄れつつあるものの、駅周辺には以前のにぎわいを感じられる場所もいくつかある。

駅の南口に建立された天祖神社の碑。碑文を揮毫したのは、鈴木貫太郎

まず、駅を出ると南口の駅前広場には天祖神社の碑が現れる。碑文は、終戦時に首相を務めた鈴木貫太郎が揮毫(きごう)。それだけでも由緒あることを感じさせるが、南口から天祖神社へと続く商店街はいまだに昭和の雰囲気を残している。

商店街の道路は自動車1台がやっと通れるような細い道で、そこには昔ながらの老舗の和菓子屋・個人営業の居酒屋・飲食店などが並ぶ。それだけだったら、一見さんにはとっつきにくい街のようにも感じかもしれない。

商店街の入り口は、自動車一台がやっと通れるほど細い道路のまま

しかし、個性のある店の間には、ちゃんとチェーン店がひしめいている。大塚初訪問で気後れしても、気分次第でそうした敷居の低い店をチョイスすることもできる。古きよき昭和を残しながらも、大塚駅は令和という新時代のテイストも併せ持つ。その象徴とも言えるのが、駅北口にオープンした「OMO5 東京大塚」だろう。星野リゾートが運営する同ホテルはリゾートではなく新業態を模索するホテルとして誕生した。

大塚駅北口に誕生した星野リゾートの「OMO5 東京大塚」
三業地の名前が残る商店街の看板

これまでの星野リゾートは、軽井沢をはじめとする温泉地や保養地といった観光客をターゲットに据えたホテル経営に注力してきた。大塚駅北口にオープンした「OMO5 東京大塚」は大きくコンセプトを変え、ビジネスマンなどの利用も取り込もうとしている。
大塚駅は大規模改良をはじめ星野リゾートなどの進出によって活気づくが、街の雰囲気はとてものんびりとしている。荒川線はゆっくり走り、駅前広場では地元住民がベンチに腰掛けて憩う。

駅南口には懐かしさを感じさせる老舗のバッティングセンターもあり、その脇道には昭和彷彿とさせる”三業地”と書かれた看板を掲げる商店街もある。三業地とは、平たく言えば料亭・待合・置屋の3業が揃う地域のことで、東京では浅草や神楽坂といった街が三業地とされた。大塚も三業地としてにぎわい、そして駅北口には白木屋百貨店大塚分店もあった。

駅南口には、昭和の雰囲気を残すバッティングセンターがある

三越や高島屋と並び、白木屋は日本を代表する老舗百貨店だった。1956年に東急グループに組み込まれたが、その後もブランド力は絶大だった。白木屋百貨店のあったビルには、それを記念したレリーフが掲げられていた。同ビルは老朽化により解体されている。

大塚駅北口にあった白木屋百貨店大塚分店。すでに同ビルは取り壊されているが、大塚分店が閉店した後もビル内には白木屋の思い出を伝えるレリーフが飾られていた

南口に目を転じてみると、大塚駅周辺の都電沿いには多種類のバラが植えられている。都電荒川線沿いでバラといえば、荒川区がバラの植栽を積極的に推進している。そのため、都電とバラの組み合わせは、荒川区のイメージが強い。しかし、豊島区でも大塚駅周辺でバラの植栽に力を入れている。大塚駅から向原までの都電沿いは緩やかな坂道になっていて、そこにはバラの植栽区間がある。春と秋、バラのシーズンには都電の線路沿いに咲くバラを愛でる人も少なくない。

大塚駅南口から都電沿いを向原方面に歩くと、バラが植えられた区間が出現

そのバラ植栽区間の近くには、SLのC58が保存展示されている大塚台公園もある。大塚台公園から東へ向かうと、今度は都電の車両が保存展示されている南大塚公園が見えてくる。こちらの車両もフェンスで囲まれているが、車体は再塗装されたようで以前と比べてピカピカの状態になっていた。再塗装によって、帯の色も青から赤へと変更された。

南大塚公園に展示されている都電
大塚台公園に保存展示されているSL

大塚台公園のSL、そして南大塚公園の都電。どちらも鉄道ファンには目を細めたくなるような懐かしい車両だろう。街のちょっとしたところに昭和の面影を微かに残す大塚駅周辺は、鉄道ファンにとっても楽しい街だ。

夜の大塚駅南口

#駅 #東京都交通局 #JR東日本


いまだ昭和の面影を残す山手線駅の大塚駅(JR山手線・都電荒川線)

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