JR西日本の全線が乗り放題、新幹線や在来線特急列車にも乗車できることから話題になっている「JR西日本 どこでもきっぷ」。11月17日に行われた社長会見での発言によれば、10月の発売以来、すでに約7万枚以上も販売されているという。

山陽新幹線「こだま」で活躍する500系

この「JR西日本 どこでもきっぷ」の他に、近畿7府県と福井県・鳥取県・岡山県の一部区間が乗り放題になる「JR西日本 関西どこでもきっぷ」も発売されている。どちらも非常にお得なきっぷだけに、購入を検討した人も多いのではないだろうか。一方、どれだけお得なのか、どの程度まで使うと元が取れるのか、気になった人もいるだろう。

■山陽方面へ1泊2日の鉄道旅行、通常より1万円以上お得に

筆者は先月、2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」を使って山陽方面を旅行した。その模様は本誌記事「『JR西日本 どこでもきっぷ』新幹線&在来線で山陽方面へ旅に出た」で紹介している。この鉄道旅行を例として、通常の運賃・特急料金と比べてどれだけお得だったか検証したいと思う。まずは今回の行程を書き出してみた。

●往路 (新神戸駅→下関駅)

  • 新神戸駅→岡山駅 (山陽新幹線「のぞみ」普通車自由席)
  • 岡山駅→総社駅 (吉備線 普通列車)
  • 総社駅→岡山駅 (伯備線 普通列車)
  • 岡山駅→広島駅 (山陽新幹線「のぞみ」普通車自由席) ※広島駅で途中下車
  • 広島駅→徳山駅 (山陽本線・岩徳線 普通列車)
  • 徳山駅→新下関駅 (山陽新幹線「こだま」普通車自由席)
  • 新下関駅→下関駅 (山陽本線 普通列車)

●復路 (小倉駅→新神戸駅)

  • 小倉駅→新神戸駅 (山陽新幹線「のぞみ」普通車指定席)

往路の運賃・特急料金は便宜上、新神戸~広島間と広島~下関間の合算で求めた。調べてみたところ、新神戸~広島間は1万560円(運賃5,500円、新神戸~岡山間の自由席特急料金2,530円、岡山~広島間の自由席特急料金2,530円)、広島~下関間は6,270円(運賃3,740円、徳山~新下関間の自由席特急料金2,530円)。新神戸駅から下関駅まで合計1万6,830円だった。

これに岡山~総社間の運賃(きっぷで購入した場合、吉備線経由で420円、伯備線経由で510円)を加えると、合計1万7,760円。ちなみに往路の乗車券を新神戸~下関間で購入した場合の運賃は8,360円で、これをもとに計算すると、往路は1万6,880円となる。復路の運賃・特急料金は通常期で計算し、小倉駅から新神戸駅まで1万4,390円(運賃8,580円、指定席特急料金5,810円)に。往路・復路を合算すると3万2,150円(新神戸~下関間の乗車券を購入した場合は3万1,270円)になった。

筆者が購入した2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」

筆者が購入した2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」は1万8,000円。つまり、今回の旅行で1万4,150円も得したことになる。通常の運賃・特急料金より約4割引で旅行できたことからも、いかに「JR西日本 どこでもきっぷ」がお得なきっぷか、おわかりいただけるのではないかと思う。

■山陽新幹線「のぞみ」は新大阪~広島間の往復で元が取れる

2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」をもとに、どこまで乗ったら元が取れるのかについても調べてみた。まずは山陽新幹線だが、先に結論を書くと、山陽新幹線は近距離の利用でない限り、往復するだけで元が取れることが多い。

たとえば新大阪~広島間(営業キロ341.6km)で「のぞみ」の普通車自由席を利用した場合、運賃・特急料金は片道で9,890円、往復で1万9,780円となり、2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」なら1,780円お得に旅行できる。「のぞみ」の新大阪~広島間の所要時間は約1時間20分なので、日帰り旅行でも十分楽しめるだろう。一方、新大阪~福山間(営業キロ238.6km)の場合、「のぞみ」の普通車指定席(通常期)を利用しても片道8,210円、往復1万6,420円となり、同区間の往復だけでは元が取れないので注意したい。

関西地区から各方面へ向かう在来線特急列車についても調べてみた。北陸方面の特急「サンダーバード」の場合、普通車指定席(通常期)を利用すれば大阪~和倉温泉間で片道9,360円、往復1万8,720円となり、2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」でもかろうじて元が取れる。1泊2日の旅行なら十分楽しめるだろうし、金沢駅から北陸新幹線に乗り、富山方面へ立ち寄ることで、よりお得な旅行になるのではないかと思われる。

■鳥取・岡山・南紀方面は「JR西日本 関西どこでもきっぷ」が便利

関西地区から鳥取・岡山・南紀方面へ行くなら、近畿7府県と福井県・鳥取県・岡山県の一部区間が乗り放題になる「JR西日本 関西どこでもきっぷ」のほうが便利だろう。同きっぷは2日間用のみ、1万円で発売されている。

智頭急行線(「JR西日本 どこでもきっぷ」「JR西日本 関西どこでもきっぷ」ともに乗り放題エリアに含まれる)経由の特急「スーパーはくと」で大阪~鳥取間を利用した場合、普通車自由席でも片道6,590円、往復1万3,180円となり、「JR西日本 関西どこでもきっぷ」だと3,180円もお得に。「スーパーはくと」の所要時間は大阪~鳥取間で片道約2時間30分なので、日帰り旅行も難しくはない。

智頭急行線経由で運転される特急「スーパーはくと」

南紀方面の特急「くろしお」の場合、新大阪~白浜間なら普通車自由席でも片道5,170円、往復1万340円となり、かろうじて元が取れる。一方、天王寺~白浜間は普通車指定席(通常期)だと片道5,370円、往復1万740円だが、普通車自由席だと片道4,840円、往復9,680円となり、元が取れないので注意したいところ。「JR西日本 関西どこでもきっぷ」を利用する際も、念のため通常の運賃・特急料金と比較しておくことをおすすめする。

■「どこでもきっぷ」購入時の注意点は

「JR西日本 どこでもきっぷ」(2日間用・3日間用)と「JR西日本 関西どこでもきっぷ」を購入するにあたり、いくつか注意したい点がある。まずは利用開始日1カ月前の10時から7日前までの発売となっていること。つまり、12月11~13日に利用するなら、7日前の12月4日までに購入する必要がある。加えて、2日間用・3日間用ともに連続利用が求められ、「青春18きっぷ」のように日を分けての利用はできない。

次に、「JR西日本 どこでもきっぷ」(3日間用)と「JR西日本 関西どこでもきっぷ」はJR西日本ネット予約「e5489」で予約し、「みどりの券売機」や「みどりの窓口」で受け取るしくみになっていること。受け取る際、クレジットカードで支払った場合は決済に使用したクレジットカードと予約番号・電話番号、コンビニ等で支払った場合はメールなどで案内する受取コードと電話番号を提示する必要がある。なお、JR西日本・JR九州(福岡県・佐賀県内)管内のおもな旅行会社でも取り扱う。

「JR西日本 どこでもきっぷ」の2日間用は旅行会社限定で販売されるため、JR西日本・JR九州(福岡県・佐賀県内)管内のおもな旅行会社の店舗に出向く必要がある。筆者は2日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」を購入する前、旅行会社の店舗で取扱いの有無を問い合わせた。すると、主要駅以外の店舗では当日購入ができず、取り寄せになるとのことだった。最終的に大阪駅近くにある旅行会社の店舗で購入できたが、最近はコロナ禍の影響もあり、旅行会社によっては店舗での案内が予約制のところもあるだろう。

いずれにしても、「JR西日本 どこでもきっぷ」「JR西日本 関西どこでもきっぷ」を買うなら早めに行動することが肝要だと思われる。両きっぷとも発売期間は12月18日まで(3日間用の「JR西日本 どこでもきっぷ」は12月17日まで)、利用期間は12月26日までとなっており、12月27日以降の年末年始は利用不可であることにも注意しておきたい。

「JR西日本 どこでもきっぷ」は新幹線や特急列車を乗り継ぎ、複数の路線を利用する鉄道旅行に最適なきっぷではないかと思う。ただし、「青春18きっぷ」のように思い立ったその日の旅行は難しい。あらかじめ入念な準備が必要なきっぷともいえる。

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「JR西日本 どこでもきっぷ」(2日間用)で鉄道旅行、どれだけお得?

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