京成トラベルサービスは京成電鉄と千葉都市モノレールの後援で、「3600形&アーバンフライヤー0形で行く! モノレール車両基地見学ツアー」を開催。「ターボくん」と呼ばれる京成電鉄3600形3668編成と、千葉モノレール「アーバンフライヤー」0形の貸切列車に乗車し、普段は見られないモノレールの裏側を見学できるツアーとなった。

京成電鉄と千葉モノレールが初コラボ。貸切列車で萩台車両基地へ

京成電鉄と千葉モノレールの初コラボとなるツアーは11月13・23日の2日間開催され、11月13日のツアーに報道関係者らも同行した。

■京成電鉄3600形「ターボくん」見た目と音のギャップを堪能

ツアーのスタート地点は京成上野駅。参加者たちが乗車する3600形3668編成は8時52分、京成上野駅1番線に入線した。京成電鉄の現行車両の中で最も短い4両編成のため、ホームの中ほどで停車する。3668編成は4両とも先頭車となっており、先頭車同士が向き合って連結している様子もホームから確認できた。

今回のツアーは定員67名として募集を行い、応募数は188名とのことで、倍率は約2.8倍に。発車までの間、隣の2番線に停車していた「スカイライナー21号」や3600形3668編成を撮影する参加者たちの姿が見られた。今回は家族での参加も多く、成田空港・ちはら台方の1号車では、電車の前面と一緒に記念撮影する家族の姿が目立つ。近くにいた駅員が撮影用として帽子を貸す場面もあり、出発前からこどもたちは楽しげな様子だった。

「ターボくん」こと3600形3668編成が入線
先頭車同士が向き合って連結されている
出発前に記念撮影。駅員が帽子を貸す場面も

3600形3668編成の貸切列車は9時7分に京成上野駅を発車。本来、3600形は界磁チョッパ制御の車両だが、3668編成に限りVVVFインバータ制御が搭載されている。レトロな外観・内装に特徴的な音の組み合わせが面白い。

3600形は1982(昭和57)年に登場した京成電鉄の通勤型車両。オールステンレス車体や界磁チョッパ制御、京成電鉄の通勤型車両では初となるワンハンドルマスコンを採用し、6両編成で登場した。1997(平成9)年頃に6両編成から8両編成に組み換えられ、おもに京成本線の特急で活躍。都営浅草線へ乗り入れたこともある。

内装は緑色の床面、クリーム色の壁面、赤色のロングシートや天井の扇風機が見られ、昭和の京成電鉄の面影を色濃く残す。現在、8両編成の3600形は運行終了しており、今回のツアーで乗車している4両編成1本(3668編成)と、登場時のファイヤーオレンジ帯を復刻した6両編成1本(3688編成)が運行を続けている。

3668編成は1997年頃に編成組替えを行った際、余剰となった先頭車を6両編成に改造。3600形の先頭車にはもともとモーターが搭載されていないため、改造時に制御装置(VVVFインバータ制御)を取り付け、6両中4両を電動車化した。他の3600形より加速性能が上がり、その性能の良さから乗務員の間で「ターボくん」と呼ばれ、いつしか一般の鉄道ファンにも広まったという。

2017年から3668編成は4両編成に。現在はおもに金町線(京成金町~京成高砂間)や京成成田~芝山千代田間(東成田~芝山千代田間は芝山鉄道)で見ることができる。3668編成の変わった役割として、新型車両を回送する際に牽引を行うことがあり、京成電鉄の中でもとくに異彩を放つ車両といえる。

3600形3668編成の貸切列車は京成高砂駅を通過した後、金町線と北総線・成田スカイアクセス線が分かれるのを横目に見つつ、引き続き京成本線を走行。京成小岩駅や船橋競馬場駅などにて、普通および都営浅草線から直通してきた快速を追い抜く場面も見られた。4両編成の車両が優等列車並みの通過運転をする機会は普段見られないので、その点でも今回のツアーは珍しい。

京成高砂駅から金町線が分岐
車内で抽選会。各車両2名ずつグッズがプレゼントされた
「スカイライナー」ロゴ入りスポーティリュック

東中山駅を通過したあたりで、京成トラベルサービスによるグッズ抽選会が行われた。これまで車内放送を活用したビンゴ大会が行われていたが、今回は各車両に添乗しているツアースタッフが当選者の番号を読み上げる形式で進行。各車両2名ずつ選ばれ、当選者に「スカイライナー」ロゴ入りのスポーティリュックがプレゼントされた。

京成津田沼駅からは千葉線へ進む。京成本線の上を跨いでしばらくすると、進行方向左側からJR線(中央・総武線各駅停車と総武線快速)が近づいてきて、京成幕張駅の手前までぴったり並行した。車内から幕張車両センターの様子も見ることができ、209系、255系、E257系500番台といったJR東日本の車両を確認できた。

京成本線の上を跨ぎ、京成千葉方面へ
京成幕張駅の手前までJR線と並行。車両センターも見える
京成千葉駅に到着。「ターボくん」とはここでお別れとなる

京成幕張駅でJR線から離れ、列車は住宅地を縫うように走る。千葉線では、新京成線から直通運転も行われており、京成稲毛駅付近で新京成電鉄の8800形とすれ違った。新千葉駅を通過するとJR千葉駅のビルが見え、9時52分に京成千葉駅に到着。乗車してきた3600形3668編成の貸切列車はすぐに回送されるため、添乗員の指示に従って速やかに下車した。ここで千葉モノレールに乗り換え、動物公園駅まで「アーバンフライヤー」0形に乗車する。

■「アーバンフライヤー」0形の眼下に485系「華」も

「アーバンフライヤー」0形は2両編成のため、ツアー参加者は3600形乗車時の号車ごとに1~4班に分かれ、1・2班は第1便、3・4班は第2便に乗車することになった。筆者を含む報道関係者らは1班に同行。千葉駅からは千葉都市モノレールの社員も各班に同行した。入線までに少し待ち時間があり、その間に千葉みなと行や動物公園行の列車を見送った。

1・2班が乗車するツアー列車第1便は10時10分に千葉駅2番線へ入線。本来、「アーバンフライヤー」0形の行先表示はLED式だが、今回のツアーに合わせ、紙の方向幕で京成電鉄風の「京成貸切 臨」という装飾が行われた。ツアー列車として使用された車両は、第1便が第26編成(011・012号)、第2便が第27編成(013・014号)。どちらも2020年に製造されたばかりの新車にあたる。

「アーバンフライヤー」0形のツアー列車1便は10時15分に千葉駅を発車。発車直後、偶然にも総武本線方面へ発車する485系お座敷列車「華」を見ることができた。後で調べたところ、「華」は団体臨時列車として千葉駅を通っていたようだった。一方、ツアー列車は県庁前方面の1号線を跨ぎ、千城台方面の2号線に入る。

京成電鉄3600形風の装飾で「アーバンフライヤー」0形が入線
偶然にも485系お座敷列車「華」を見ることができた
県庁前方面の線路を跨ぎ、動物公園駅へ向かう

車内は自由席のため、空いている席に座って過ごす人もいたが、乗務員室の後ろから前面展望を楽しむ親子の姿が多かった。走行中も千葉都市モノレール社員による解説が行われ、天台駅手前の約58パーミルの急勾配、天台~穴川間にある半径約50mの急カーブをはじめとするモノレールならではの特徴や、沿線の千葉公園、千葉県総合スポーツセンターなどに関する話が紹介された。

スポーツセンター駅から先、沿線が次第に森に囲まれていき、ツアー列車は10時26分に動物公園駅2番線に到着。全員が下車した後、「アーバンフライヤー」0形はすぐに萩台車両基地へ引き上げていった。後を追うように、ツアー参加者ら一行も動物公園駅から徒歩で萩台車両基地へ向かう。

千葉都市モノレール社員のガイドを聴きながら空中散歩
動物公園駅に到着
萩台車両基地まで徒歩。真ん中の引上げ線が右へカーブしている

萩台車両基地では、静態保存されている1000形(1001号)にて、到着した順にヘルメットを着用。4班全員がそろったところで、まずは洗車の様子を見学した。解説によると、1編成を洗浄するのに必要な水の量は350リットル、1日あたり午前・午後に1編成ずつ洗車を行っているという。懸垂式モノレールということもあり、車体の底部を洗車するためのブラシが洗車機下部に取り付けられている点も特徴的だった。

洗車作業に入る際、電車は洗車機手前でいったん停車。軽く警笛を鳴らし、徐行しながら洗車機に進入すると、ブラシが高速回転を始め、同時に勢いよく水を噴き出しながら車体を洗浄していった。遠目で見ていると、噴き出している水が霧状にも見え、車両が洗車機を抜けた瞬間、霧の中から電車が姿を現したかのようにも見られる。その迫力に、こどもたちから歓声が上がった。

モノレールの洗車の様子を見学
萩台車両基地内に展示されている1000形(1001号)
線路の真ん中にある可動部が動き、モノレールの進路を切り替える

洗車の次はポイント切替えの様子を見学。モノレールのポイントは、可動部の板が押さえつけられた状態になっており、ポイント切替えの際、まずその押さえを緩める必要がある。次に可動部の向きを切り替え、最後に可動部を固定することで、電車の進行方向が切り替わるしくみに。普段は見えにくい部分の変化に、参加者の多くが驚いた様子だった。

■モノレールの裏側を検修庫で観察・解説

ここから再び4班に分かれ、検修庫内の見学へ。検修庫の1階は搬入庫になっている。千葉モノレールの車両は広島県で製造され、トラックで陸送されるが、搬入庫に到着すると車体はクレーンで吊り上げられる。モノレールの重量は1両あたり約20トンとのことだが、クレーンひとつで支えられる重量は12トンまでのため、クレーンを2機使用することでモノレールの車体を吊り上げられる。

2階では、「アーバンフライヤー」0形を例に、車体下部や底面に備わっている安全装置の解説が行われた。モノレール車体の左右下部には、横向きに取り付けられた振れ止め車輪があり、緩衝材の役割を担っている。床面ガラスを境として底面右側に小さな穴が開いており、ここから超音波を発している。ホームの床に超音波を照射し、跳ね返ってくることでホームを検知し、それを2両分検知できたときにドアを開けられる。

一方、底面左側に脱出シュートが設置されている。駅間での非常時に乗務員室から布のすべり台を地上に降ろし、避難する。解説によると、モノレール社員は脱出シュートによる避難訓練を全員行うのだが、かなり怖かったとのこと。とはいえ、非常時には脱出装置を使用する可能性があるため、万が一を考慮して覚えておきたい。

これほど近い距離からモノレールを見上げる機会は珍しい
社員の解説に耳を傾けつつ、車両の底面を観察
床面ガラスを境に、右側には超音波、左側には脱出シュートが備わる

次は3階に上がり、1000形3次車と「アーバンフライヤー」0形を見学。両者の外観は異なるものの、車体形状そのものに大きな変化はないという。懸垂式モノレールでは、通常の鉄道において床下に設置される機器類が車両上部に置かれている点も、新型・旧型問わず共通している。

しかしながら、1000形3・4次車と「アーバンフライヤー」0形では連結器が異なっている。千葉モノレールではかつて2両編成同士を連結した4両編成の運行を実施していたことがあり、それに対応させるべく1000形3・4次車に電気連結器を用いた。しかし、編成間の行き来ができず、ワンマン運転に適さないため、4両編成の運行は廃止。「アーバンフライヤー」0形では通常の連結器に戻っている。

モノレールの車体や連結器などについて、実車を見ながらわかりやすく解説

検修庫4階では、モノレールの台車を観察した。台車の奥にハの字型の懸垂リンクが見え、台車と車体をつないでいることがわかる。その中には、非常時に備えた命綱として安全鋼索も備えられている。万が一、懸垂リンクが破損した場合にも乗客を転落させないように、1本につき100トンの重量を支える鋼索を2本用い、車体を転落から保護する。

台車にはゴムタイヤが使用されている。走行するための走行タイヤと、カーブを通過するための案内タイヤの2種類を備える。さらに驚くことに、懸垂式モノレールでは台車にパンタグラフが設置されているという話も。電気を取り入れるための正パンタグラフが台車上部に、電気を逃がすための負パンタグラフが台車の左右に設置されていることを確認できた。

横向きの案内タイヤの奥に、ハの字型の懸垂リンクが見える
懸垂式モノレールの台車
台車上部に取り付けられた正パンタグラフ

なお、ここまで社員がツアーガイドを行うにあたり、こどもたちの反応を拾いながら、わかりやすく親しみのある話し方で進行してきた。筆者は取材のため、後ろのほうで解説を聞いていたが、こどもたちを含む参加者たちもガイドの社員も、お互いに楽しく話していることが伝わった。

最後は検修庫の外で、ツアー列車の撮影時間が設けられた。1・2班の乗車した第26編成、3・4班の乗車した第27編成が並ぶ。両編成とも今回のツアーに合わせ、京成電鉄をイメージした装飾が行われていた。第26編成には京成電鉄3600形の方向幕と種別幕が掲示され、第27編成には京成電鉄3500形未更新車の方向幕と種別表示板が再現されている。今回は家族での参加が多かったこともあり、撮影スペースでは撮影を楽しむこどもたちの声が絶えなかった。

第27編成(写真左)は京成電鉄3500形未更新車、第26編成(同右)には京成電鉄3600形を模した表示を掲出

12時30分頃、動物公園駅まで戻ったところでツアーは解散。参加者には、ツアー後も千葉モノレール沿線を楽しめるように、千葉市動物公園の入場券、千葉都市モノレール1日乗車券、ダイニングレストラン「ベリエール」、京成ホテルミラマーレ内レストランの割引券がプレゼントされた。なお、動物公園駅では京成電鉄、京成トラベルサービス、千葉都市モノレールによる物販が行われ、イベントの最後に物販をのぞいたり、買い物したりする参加者でにぎわっていた。

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京成電鉄&千葉モノレール初コラボ! モノレール車両基地見学ツアー

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