2022年秋の運賃値下げの方針を表明していた北総鉄道(千葉県鎌ヶ谷市)は19日、運賃改定を同年10月1日とし、通学定期運賃を平均64・7%引き下げると発表した。「家計負担が大きい」として値下げを要望してきた沿線自治体や住民は「期待以上」と歓迎している。

同鉄道が19日午前、国土交通省に運賃の改定を届け出た。

普通運賃は11・6%引き下げ、初乗り190円(現行210円)とする。通勤定期は13・8%値下げする。

同社は10年、沿線自治体の補助金による値下げを行ったが、自主的な値下げは1979年の開業以来初めて。値下げにより、運賃収入は年間19億円程度減少すると試算している。

現行の通学定期運賃は、沿線自治体との協議に基づき25%割り引かれているが、来年秋の値下げは、これに上乗せする形で実施する。利用者が多い印西牧の原—京成高砂間(28・5キロ)が6か月2万6950円と、現行より5万4000円安くなる。同距離の区間で比較すると、京成電鉄と同額になる。北総鉄道は「コロナ禍でテレワークが進む中、子育て世代や若者の沿線流入を促進したい」としている。

同鉄道は印西、白井、船橋の3市にまたがる千葉ニュータウン(NT)を東西に走り、都心につながる。現在は印旛日本医大—京成高砂間の32・3キロで運行。同距離で比較した運賃が他社の2〜3倍と高く、不評だった。2000年3月期に447億円あった累積赤字が、沿線の発展などで来年度中に解消する見込みとなったため、値下げに踏み切ることにした。

新しい普通運賃は、全区間を乗車すると820円(現行840円)で下げ幅は20円だが、12〜17キロの中距離区間は100円引き下げる。地域内での人の移動や交流を促進する狙いがある。

白井市では北総鉄道が唯一の鉄道で、笠井喜久雄市長は19日、「通学定期の値下げ幅は予想以上。よく頑張ってくれた」と述べた。印西市の板倉正直市長は「普通運賃も、現状で考えられる限り最大限の値下げをしていただいたと思う」と評価した。

利用者増で次のステップも

北総鉄道の室谷正裕社長に通学定期運賃の大幅値下げなどの狙いを聞いた。

——値下げが現実的に見え始めたのはいつ頃から。

「2、3年前。累積赤字の解消の見通しが立つようになった。北総鉄道は千葉ニュータウン(NT)など地域の重要な社会基盤。高額運賃の問題は十分認識していたが、安定的サービス提供のため、経営資源の全てを財務体質の強化に注入するのが先だった」

——コロナ禍で経営環境は厳しい。

「運賃設定は中長期的視点が必要だ。減収になっても、通学定期の大幅値下げで若い世代の流入を促進できれば、沿線価値が上がる」

——このタイミングでの発表の理由は。

「来春に向け、異動や進学などで移り住む先として沿線を検討してもらえると考えた。日本は人口減少の局面に入り、千葉NTも高齢化が始まっている」

——更なる値下げを求める声が出るかもしれない。

「沿線自治体と連携を強化し、値下げを最大限活用したセールスや地域活性化を図る。利用者が増えれば、次の判断へのステップが見えてくるだろう」(聞き手・菅彩織理)

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「運賃高い」と不評の北総鉄道、通学定期64%値下げへ…住民「期待以上」

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