横浜市の桜木町駅とみなとみらい新港地区を結ぶ日本初の常設都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)」が4月22日に開業した。みなとみらいにありそうで、いままでなかった乗り物の話題は大きく、休日を中心に行列ができるほどの人気を集めている。

横浜・みなとみらい地区に開業した都市型ロープウェイを体感

横浜市在住の筆者としては、日本初の都市型ロープウェイが身近な場所に開業したとあって、非常に興味深い。実際に乗ってみて、景色を堪能してきた。

■泉陽興業が運営する最先端のロープウェイ

「YOKOHAMA AIR CABIN」の運営は「よこはまコスモワールド」を手がける泉陽興業。大阪に本社を置くレジャー企業で、1990(平成2)年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」にて、園内の循環式ロープウェイの建設・運営・管理を務めた実績がある。2017年、横浜市の「まちを楽しむ多彩な交通の充実」という施策において、民間企業から事業案を募集した際、泉陽興業は都市型循環式ロープウェイの事業で応募し、採択された。

「YOKOHAMA AIR CABIN」は桜木町駅から新港地区の入口に位置する運河パーク駅まで、片道630mを結ぶ。まずは桜木町駅からゴンドラに乗り、運河パーク駅まで搭乗した。ロープウェイは乗り場でも絶えず動いているため、足もとに注意しながらゴンドラに乗り込み、いよいよみなとみらいの上空へ繰り出す。最初は駅前ロータリーの直上に飛び出し、そのまま大通りを越えて海上へ。



桜木町駅前のバスロータリーを飛び越え、運河パーク駅に向かって海上を行く

運河パーク駅に向かって左手に、横浜ランドマークタワーや大観覧車「コスモクロック21」などを一望でき、左手すぐ下に汽車道が並行している。汽車道には線路跡が1本あるが、1989(平成元)年の「横浜博覧会」(Yes,89)では、この線路を気動車が実際に走った。その気動車は横浜博覧会終了後、岩手県へ譲渡され、三陸鉄道で活躍したという。

海上では、ときおり水陸両用バスやクルーズ船などが航行する様子が見られ、運が良ければロープウェイと並行して進む船をゴンドラから眺められる。ゴンドラの最高高度は40mに達するため、眺望も抜群に良い。普通の鉄道のような線路も、新交通システムのような軌道もなく、真下を見れば海面まで一直線。



ロープウェイは汽車道にほぼ並行。みなとみらいの風景を360度眺める空中散歩を楽しめる

前方に横浜ワールドポーターズが迫ってきたところで、港3号橋梁の上を越え、運河パーク駅に到着する。「YOKOHAMA AIR CABIN」の桜木町~運河パーク間の所要時間は約5分。あっという間だが、みなとみらいの景色がゆっくり流れていくところが面白い。

運河パーク駅は横浜ワールドポーターズに直結しており、駅前から横浜港観光船が発着している。「よこはまコスモワールド」と大観覧車「コスモクロック21」は、ジェットコースターのピンク色のレールが見える方向に歩いてすぐだ。「よこはまコスモワールド」の近くに「カップヌードルミュージアム横浜」「横浜みなとみらい万葉倶楽部」もある。

横浜ワールドポーターズへの連絡通路を使わずに駅の階段を降りると、汽車道から続いてきた線路跡の前に出る。門のような形のホテル「ナビオス横浜」をくぐり、万国橋交差点に出ると、新港中央広場を隔てて正面に赤レンガ倉庫が見える。交差点を左に曲がり、円形の歩道橋(サークルウォーク)を渡ってさらにまっすぐ進めば、新港ふ頭客船ターミナル(横浜ハンマーヘッド)に行き着く。運河パーク駅が新港地区のあらゆる観光施設へのアクセスの中心となり、まさしく玄関口の駅となっている。

横浜ワールドポーターズ前に位置する運河パーク駅
運河パーク駅の1階出口からはこちらに抜けられる
万国橋交差点に出れば、広場の先に赤レンガ倉庫が見える

なお、風が強いときはゴンドラが揺れるため、運行速度を落としたり、一時停止したりすることも。天候が良好でない場合は、そのことを考慮に入れた上で搭乗してほしい。

■1グループずつ搭乗でき、ゴンドラ内も快適

「YOKOHAMA AIR CABIN」のゴンドラは1台8人乗りで、全部で36台が循環している。搭乗時は1グループごとに案内されるため、知らない人と同じゴンドラに乗り合わせることはいまのところない。ただし、搭乗までに時間がかかる場合も多い。休日はいまだに待機列が形成されるほどだ。

筆者が搭乗した日は休日だったため、混雑を避けるために時間をずらしたものの、それでも桜木町駅で20分待ちの状態だった。ピーク時はさらに待つ可能性もあるだろう。並んでいる他の人を見てみると、家族連れやカップルの利用者が多かった。

ゴンドラ内は冷房を完備し、夏の暑い日も涼しく快適に移動できる。駅・ゴンドラともにバリアフリー対応なので、車いす利用者や障がいのある人も安全に搭乗可能。桜木町駅前から運河パークまで、徒歩だと汽車道を経由して約10分かかるが、ロープウェイだと約5分で済む。待機列が長い場合はこの限りでないものの、料金を払って快適に移動できる選択肢が増えたことはありがたい。

■料金は高めだが、往復やセット券がお得

「YOKOHAMA AIR CABIN」の利用料金は、片道券が大人(中学生以上)1,000円・こども(3歳から小学生まで)500円。往復券は大人1,800円・こども900円。「よこはまコスモワールド」内の大観覧車「コスモクロック21」とのセット券が片道・往復ともに発売されており、ロープウェイ片道と観覧車のセットで大人1,500円・こども1,200円、ロープウェイ往復と観覧車のセットで大人2,300円・こども1,500円。20名以上の団体利用で1割引になり、障がい者割引(大人1名が介護者)は半額。3歳未満の幼児は無料となる。

通りがかった人や筆者の家族、SNSなど、さまざまなところで「料金が高い」という声を聞く。たしかに、単純に「片道乗ってそれで終わり」なら高く感じるが、往復券の購入により、大人は200円、こどもは100円安くなる点は見逃せない。

冷房完備・バリアフリー対応で誰でも利用できるロープウェイ
セット券購入で「コスモクロック21」(写真右)にも乗れる

その上で、「コスモクロック21」とのセット券はさらにお得。「コスモクロック21」の通常の料金は1人900円(3歳以上~)なので、実質的に大人400円・こども200~300円で観覧車に乗れる。

■夜景満喫にもおすすめ! ゴンドラも多彩な光で彩る

汽車道沿いにみなとみらいの景色を楽しめる「YOKOHAMA AIR CABIN」だが、夜に乗ることもおすすめしたい。筆者もゴンドラからの夜景を見たかったので、夜まで待って運河パーク駅から桜木町駅まで搭乗することにした。というのも、夕方頃からみなとみらいの各施設でライトアップが行われ、昼間には見られない幻想的な情景に変わるからだ。「コスモクロック21」はもちろん、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルの外観も光に照らされる。



ロープウェイのゴンドラは夕方以降にライトアップを開始。多彩な色とパターンの光を灯す

横浜ワールドポーターズには赤い照明が灯り、桜木町駅に向かって左手の結婚式場「ノートルダム横浜みなとみらい」は暖色の照明で飾られる。汽車道の両脇にも光が灯り、暗くなった運河に光の道筋を形成する。これらすべてをロープウェイのゴンドラから一望できるのだ。空中散歩を通して眺めるみなとみらいの夜景は、思わずうなるほどの美しさ。上空から見下ろせば、大通りを行き交う車のライトさえ夜景の一部に感じるかもしれない。

ゴンドラ自体も夜景に彩りを添えている。世界的な照明デザイナー、石井幹子氏の監修により、座席の下部に設置された照明がさまざまな色とパターンで光を放ち、港湾の夜景に彩りをプラスした。昼間のゴンドラはビル群に溶け込み、夜間は港湾都市の夜景に添える光を灯す。みなとみらいの景観に見事に調和したのではないかと感じた。



ロープウェイから見ても、みなとみらいの夜景は非常に美しい

「YOKOHAMA AIR CABIN」の本来の営業時間は10~22時だが、当面は新型コロナウイルス感染症の影響により、10~20時の時短営業となる。前述の通り、待機列の長さ次第では、搭乗までに想定以上に時間がかかる可能性もある。ロープウェイに搭乗する際は時間に余裕を持って出かけると同時に、感染症対策を引き続き行った上で楽しんでほしい。

#子鉄


日本初の常設都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」景色を堪能

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