JR西日本は2024年開業予定の北陸新幹線延伸区間、金沢~敦賀間の駅名を発表した。新たに開業する6駅のうち、小松駅、加賀温泉駅、芦原温泉駅、福井駅、敦賀駅の5駅は在来線の駅に併設するため、在来線と同じ駅名となった。

福井鉄道の越前武生駅と、北陸新幹線の新駅・越前たけふ駅の位置(地理院地図を加工)

福井~敦賀間に新設する駅は在来線と離れているため、新たな駅名が必要だった。計画時には「南越(仮称)」と表記されていたが、正式名称は「越前たけふ」に決定した。所在地が福井県越前市大屋町だから、「越前」の付く駅名は納得できる。この地域の旧国名でもある。「たけふ」は漢字で「武生」と書く。これは当地の旧市名で、2005年に武生市と今立町が合併し、越前市が誕生した。

「武生」は地元の人以外にとって読みにくく、新幹線の駅として全国から認知してもらうため、ひらがなになったと思われる。JR西日本管内では初のひらがなを使用した新幹線駅名となった。ちなみに、他の地域では北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅、東北新幹線のくりこま高原駅、いわて沼宮内駅のように、ひらがなを使用した新幹線駅名は複数ある。山形新幹線の在来線区間にかみのやま温泉駅、さくらんぼ東根駅もある。

越前たけふ駅では、駅名の候補として「越前武生」「新武生」「越前市」「南越たけふ(または南越武生)」「越前」「越前国府」の6案が挙がっていた。つまり、「越前」と「武生」への要望が強かった。新駅の近くに北陸自動車道の武生インターチェンジがあるため、整合性も取れている。落ち着くべき形に落ち着いたという印象だ。

ただし、これは新駅だけを考えた話。悩ましいところとして、すでに同じ読み方をする駅がある。福井鉄道の「越前武生(えちぜんたけふ)」駅だ。JR北陸本線の武生駅から約300m、徒歩で3分ほど離れた場所にある。改札口が隣接していないため、JR線の駅と同名とはならず、以前の駅名は「武生新」駅だった。2010年、旧国名を組み合わせた「越前武生」駅に改称した。

越前武生行として運転される福井鉄道「FUKURAM(フクラム)」

このとき、福井鉄道はスポーツ公園駅の開業に合わせ、沿線外から訪れる利用者にわかりやすくするため、5駅を改称している。先頭に「新」を付けた「新●●」という駅名が多い中、武生新(現・越前武生)駅や福井新(現・赤十字前)駅のように、末尾に「新」を付けた駅名は珍しかっただけに、この改称はちょっとだけ残念だった。それはともかく、わかりやすくするために名づけた「越前武生」は、北陸新幹線に開業する新駅「越前たけふ」のせいで紛らわしくなってしまった。

そこで、福井鉄道は「越前武生」をもう一度改称すると決めたようだ。5月21日、地元紙の福井新聞電子版にて、「新幹線の新駅名と同じ読み…既存の私鉄駅の名称変更へ 福井鉄道の越前武生駅」という記事が公開された。記事の中で、福井鉄道は市と協議の上で名称変更を決めたと紹介されている。新駅名の決定方法や周知期間を考慮した変更スケジュールを検討するとのこと。駅名改称費用も越前市が支援する。

北陸新幹線の駅名は「越前たけふ」に決まったが、こんどは「越前武生」の新駅名が気になる。新幹線の駅名候補だった「新武生」「南越武生」も候補になるだろうし、懐かしの旧駅名「武生新」の復活も面白い。JR武生駅に近いという意味で、社名を冠した「福鉄武生」、あるいは小田急電鉄の本厚木駅のような「本武生」といった駅名も考えられる。

わかりやすさに加え、JR武生駅に近いという意味で、「武生」は外せないだろう。ならばいっそ「武生」とし、JR武生駅と同じにしてはどうか。できることなら、福井鉄道の駅を300m延伸してJR武生駅の駅舎に隣接させた上で、改札口も共用できたら便利だろう。お金がかかるけれど。

福井鉄道がすぐに駅名改称を決めた背景として、福井鉄道の代表取締役社長、村田治夫氏が新幹線の駅名選考委員の1人であり、駅名候補を6案に絞った際、「もし越前武生が採用されても異存はない」と発言していた。ただし、駅名改称の費用は越前市に負担してもらいたいと条件を付けていた。

駅名改称の費用は報じられていない。そこで他の例を見ると、金額は事例ごとに違う。

たとえば、JR常磐線の龍ケ崎市駅(旧佐貫駅)に関して、茨城新聞クロスアイの2020年6月3日付「龍ケ崎市駅改称 市の負担金、減額へ 1億6000万円程度」によると、改称にかかる当初の費用は約3億8,900万円だったが、JR線の乗車券システム改修費用をダイヤ改正作業に含めることで、2億2,900万円まで下がったという。これがJR線の駅の看板や車内放送システムを作り替える費用になるようだ。一方、東武鉄道の獨協大学前駅(旧駅名は松原団地駅)に関して、草加市議会の資料によると、改称する費用は約3億円で、獨協大学が全額負担したという。

ただし、福井鉄道の場合はここまて高額にならないと予想する。改修する場所は駅の看板や路線図などで、これは乗入れ先のえちぜん鉄道を含めても、東武鉄道の規模より小さい。無人駅や車内精算が多いから、改修すべききっぷ販売機も少ない。JR線との連絡運輸契約がなく、乗換えきっぷも発行しないから、JR線のシステムを変更する費用も不要だろう。むしろ道路案内板の変更費用のほうが大きく、越前市の負担になると思われる。

福井新聞の記事では、「改名費用を越前市が支援」とあった。支援が一部か全部かは不明だが、越前市とJR西日本が決めた駅名の影響で、福井鉄道が費用負担を求められるとはスジが違う気がする。たった10年余りはいえ、利用者や地域が慣れ親しんだ駅名の変更は鉄道事業者にとって避けたいはず。越前市の全額負担が難しいならば、鉄道・運輸機構も駅名を買い取る形で支援してほしい。

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北陸新幹線「越前たけふ」駅名決定、福井鉄道の越前武生駅は改称へ

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